秋晴れの一日、愛知県刈谷市に行く機会がありましたので、帰りに長久手市の「トヨタ博物館」に行ってきました。レーシングカーはいろいろ見た自分ですが、市販車のクラシックカーの実物も見たいと思い伺いました。
場外でお出迎えしてくれるのは、今のようなキャブオーバーが普及する前、走っていたボンネットバスの「トヨタ・FB80型」1963年
エントランスに展示されていたのは「フェラーリ・ディノ246GTS] 1973年イタリア 2418cc V6 DOHC 195ps/7600rpm 。当時のフェラーリはV12エンジンがアイデンティティ。この車両を発売するにあたってエンツォ・フェラーリさんは、早逝された息子さんの愛称「ディノ」と名付けて他のフェラーリ市販車と区別されたそうです。エンジンは、同じフィアットグループから発売されたランチア・ストラトスに搭載されてWRCで活躍しました。
入場は有料ですが、トヨタ博物館メンバーズクラブや、団体、JAF会員などの各種割引があるようです。私はJAF割引で通常1200円のところ、1000円で入場しました。発券、もぎりのお姉さんはキャビンアテンダント並みの美女ぞろいで、モデル立ちで出迎えてくれます。
一階踊り場に「トヨダAA型」1936年製 3389cc 直6 OHV 65ps/3000rpm。トヨタ初の量産市販車。ピカピカに磨き上げられていて、トヨタのアイデンティティであるのがうかがえました。
二階からは、自動車の歴史を時系列順に現車で紹介する展示になっていました。基本的にはその並び順に沿って、自分の印象に残った車両の写真をアルバムしてみました。
黎明期/普及期の自動車
世界初の内燃機関で動く自動車「ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン」1886年ドイツ(レプリカ) 954cc 4ストローク単気筒 0.75ps/400rpm。発明者カール・ベンツさんの妻ベルタさんが、実用性をデモンストレーションするために194キロメートルのロングツーリングを敢行されたそうです。
まだキャブレターが発明されていなかったので、毛細管現象で燃料の気化を行ったらしいです。巨大なフライホイールで回転を安定させています。
「ベンツ・ヴェロ」1894年ドイツ 1045cc単気筒 1.5hp/450rpm。ベンツ初の生産車だそうです。
19世紀当時、主流だった蒸気機関で動く自動車「スタンレー・スチーマー・モデルE2」1909年アメリカ 10hp/2.6Mpa。ご存じのように、ガソリン自動車に駆逐されて衰退しました。
「ロールスロイス 40/50HP シルバーゴースト」1910年イギリス 7428cc 直6 L頭 推定出力48hp。幽霊のように音もなく走るという静粛性から名づけられたらしいです。ロールスの最高出力は21世紀になるまで長らく非公表でしたが、必要十分な出力はあるという自信の表れだったそうです。
世界初の量産市販車「フォード・モデルT」1909年アメリカ 2896cc 直4 L頭 20hp/1600rpm。ベルトコンベア大量生産によるコストダウンのメリットについて語られるとき、かならず取り上げられる車です。
セルモーターが付いた最初の自動車「キャデラック・モデル30」1912年アメリカ 4692cc 直4 L頭。これ以前は手回しクランクでエンジンを始動していたそうです。
T型フォードに対抗して、現在のGMの母体、シボレー社が発売した量産車「シボレー・シリーズ490」1918年アメリカ 2802cc 直4 OHV 26hp/1800rpm。
T型フォードの後継車「フォード・モデルA」1928年アメリカ 3286cc 直4 L頭 40hp/2200rpm。日本でも現地生産され、円タク(一円均一料金のタクシー)として利用されたそうです。
英国初の量産市販車として有名な「オースチン・セブン」1924年イギリス 747.5cc 直4 L頭 10.4hp/2400rpm。
フランス初の本格的生産車「シトロエン5CVタイプC3」1925年フランス 856cc 直4 L頭 11hp/2000rpm。日本にも相当数が輸入され、そのスタイルから「セミ」という愛称で親しまれたそうです。
王侯貴族がショーファードリブン(お抱え運転手付き)で乗る豪華車「リムジン」
「デイムラー・タイプ45」1920年イギリス 7413cc 直6 スリーブバルブ 65hp/1400rpm
「ピアスアロー・シリーズ36」 1927年アメリカ 6796cc 直6 T頭 100hp/3000rpm
「ミネルバ30CV タイプAC」1925年ベルギー 5340cc 直6 スリーブバルブ 最高出力不明
「イスパノ・スイザ32CV H6b」1928年フランス 6597cc 直6 OHC 135hp/3000rpm。本社はスペイン。サーボアシストブレーキを世界で初めて採用した車で、航空機の技術を生かしたアルミシリンダーOHCエンジンだそうです。
「イスパノ・スイザK6」1935年フランス 5184cc 直6 OHV 125hp/3500rpm。佐賀の鍋島家の方が日本の職人に架装させた珍しい車両だそうです。
「ロールスロイス40/50HPファンタムⅢ」1937年イギリス 7338cc V12 OHV 最高出力未公表。
文化館に展示されていた、ロールスロイスのラジエーターグリル。熟練の職人が手作業で板金、ロウ付けをする、とんでもなくコストの掛かった品だと昔の雑誌にありました。グリル上には、世界一有名なマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」が輝いています。
「キャデラック・シリーズ452A」1931年アメリカ 7407cc V16 OHV 165hp/3400rpm。
「パッカード・トゥエルブ・ルーズベルト大統領専用車」1939年アメリカ 7756cc V12 L頭 175hp/3200rpm。装甲車並みのボディと防弾ガラスを使用しているそうです。
戦前のグランプリレースやインディ500、ルマン24時間で活躍したメーカーの高性能車
「デューセンバーグ・モデルJ」1929年アメリカ 6882cc 直8 DOHC 265hp/4200rpm。インディ500の技術を生かした高性能車で、当時のハリウッドセレブの御用達だったそうです。アメリカ史で言う「狂乱の20年代」を代表する車。
「メルセデスベンツ500K」1935年ドイツ 5018cc 直8 OHVスーパーチャージャー 160hp/3400rpm。レーシングカーの技術を生かした過給機エンジン。この後、ベンツはヒトラーの肝いりで「アウトウニオン(アウディの前身)」と共に戦前のグランプリレース(F1の前身)を席巻することになります。
こちらは文化館にあった、高級ミニカーですがフェルディナント・ポルシェ博士デザインのミッドシップのグランプリカー「アウトウニオンPヴァーゲン・タイプC」ドイツ(写真左)。正直こういったレーシングカーを期待していたのですが、真面目な博物館らしく派手な展示はありませんでした。
写真右は「ランチア・フェラーリD50」イタリア。ランチア製ですが、モンツァのアスカリ・シケインに名を遺すアルベルト・アスカリが事故死したのち、フェラーリに譲渡され、ファン・マヌエル・ファンジオがチャンピオンを獲得した1956年のF1カー。
戦前のイタリアのグランプリカーというと、若きエンツォ・フェラーリがドライバー、チームマネージャーとして活躍したアルファロメオもありますが、こちらの展示は見当たりませんでした。
フランスのグランプリカー「ブガッティT35」の写真がサイトにありましたが、こちらも展示されていませんでした。
「ブガッティT57C」1938年フランス 3257cc 直8 DOHCスーパーチャージャー 160hp/5500rpm。ナチスドイツに席巻される前に、イギリスのベントレーとルマン24時間で覇を競った逸話で有名なブガッティ。学生の頃に最高級車「T41 ロワイヤル」のプラモデルを丁寧に組み上げた記憶があります。
「ドラージュ・タイプD8-120」1939年フランス 4750cc 直8 OHV 115hp/3800rpm。超一流のコーチビルダー「フィゴーニ&ファラッシ」の架装による、レトロフューチャーな流線形。
戦前のヨーロッパの中産階級向け乗用車
「フィアット500トッポリーノ」1936年イタリア 569cc 直4 L頭 13hp/4000rpm。今に伝わるフィアット・チンクエチェントの原型のようです。オードリー・ヘプバーン主演の映画「ローマの休日」で、グレゴリー・ペック演じる新聞記者の同僚の愛車として登場しました。
「シトロエン11B」1937年フランス 1911cc 直4 OHV 46hp/3800rpm。世界初の前輪駆動車。
「KdFワーゲン」1942年ドイツ 985cc 空冷水平対向4 OHV 25ps/3000rpm。ヒトラーの肝いりでポルシェ博士が設計した車。国民車として意図されましたが量産に至らず第二次世界大戦となりました。フォルクスワーゲン・ビートルの原型。
日本の戦前の車
「トヨダAA型」(レプリカ) 1936年 3389cc 直6 OHV 65ps/3000rpm
「ダットサン11型フェートン」1932年 722cc 直4サイドバルブ 12hp/3000rpm。ニッサンの前身「ダット自動車」で製造された、現存する最古の1台だということです。
「ダイハツ・オート三輪SA-6型」1937年 667cc 空冷単気筒サイドバルブ 6.7hp。私の幼少期までは「ダイハツ・ミゼット」などのオート三輪は普通に見かけました。これは戦前のヒット商品だということです。
第二次世界大戦で活躍したジープ
「フォード・モデルGPW」アメリカ 1943cc 直4 L頭 54hp/4000rpm。現在のクロカン4WDの原型ですね。当時、既にOHVバルブは普及し始めていましたが、戦地の粗悪なガソリンでも走るよう、L頭式サイドバルブを採用したらしいです。
戦後の復興期のヨーロッパの国民車
「フォルクスワーゲン タイプ1」1951年ドイツ 1131cc 空冷水平対向4 OHV 25hp/3300rpm。ポルシェ博士のKdFワーゲンが戦後復活。「ビートル」の愛称で、2003年まで量産されました。
「メッサーシュミットKR200」1955年ドイツ 191cc 空冷単気筒2サイクル 10ps/5250rpm。前後二人掛けのマイクロカー。
「BMW イセッタ」1959年ドイツ 297cc 空冷単気筒 OHV 13ps/5200rpm。イタリアのイソ社からライセンスを取得して生産されたマイクロカー。テレビやネットで、前にドアがある珍車として扱われる事の多いクルマです。
「フィアット・ヌォーバ500L」1972年イタリア 499cc 空冷直2 OHV 18ps/4600rpm。イタリア語で”500″を意味する「チンクエチェント」という車名で知られ、1957年に発売、1977年まで生産された二代目500。映画「グランブルー」でジャン・レノが乗っていたのが強く印象に残っています。アニメ「ルパン三世」の愛車でもありますね。
「シトロエン2CV タイプA」1953年フランス 375cc 空冷水平対向2 OHV 9hp/3500rpm。1990年まで生産された国民車。バブル期にはおしゃれ感覚で乗る人もいて、街中でたまに見かけました。フカフカのサスで、カーブで派手にロールするので、映画のカーアクションに使われることがあります。
「モーリス・ミニ・マイナー」1959年イギリス 848cc 直4 OHV 34hp/5500rpm。2ボックス・ボディに横置きエンジンのFFという、現在の小型車の基本構造の始まりの車。2000年まで生産されたのち現在の「BMWミニ」にバトンタッチ。F1コンストラクターのジョン・クーパーがチューンした「ミニ・クーパー」がモンテカルロ・ラリーなどで活躍したことでも有名です。
主にアメリカで消費された戦後のスポーツカー
「MGミジェット タイプTC」1947年 1250cc 直4 OHV 54.5hp。モーリスのエンジンを搭載したライトウエイトスポーツカー。この後ヨーロッパ産のスポーツカーが、戦後の好景気に沸くアメリカに輸出されるようになりました。
「ロータス・エリート」1961年イギリス 1216cc 直4 OHC 76hp/6100rpm。F1コンストラクター「ロータス」の現在でもレプリカが人気の「7(セブン)」と並ぶ初期モデル。FRPモノコック・ボディやコーリン・チャップマン考案の「チャップマン・ストラット」サスペンションが特徴。
「ポルシェ356 1100」1950年ドイツ 1086cc 空冷水平対向4 OHV 40ps/4200rpm。「フォルクスワーゲン・ビートル」のエンジン、サスペンションなどを流用して、ポルシェ博士の息子フェリー・ポルシェ氏が開発したスポーツカー。現在の「ポルシェ911」の原型。
「メルセデスベンツ300SL」1955年ドイツ 2996cc 直6 OHC 215ps/5800rpm。ルマン24時間等の為に開発されたプロトタイプスポーツカーを市販化したもの。私は勝手に「キング・オブ・スポーツカー」と呼んでいます。
設計者のルドルフ・ウーレンハウト氏は戦争前夜のグランプリカーや戦後のF1「W196」等の連戦連勝マシンの設計者として有名な人。
このマシンも、チューブラー・スペースフレームや直噴エンジン等の先進メカの固まりで、市販車として初めて時速150マイルを超えた俊足ぶりや、ガルウイングドアなどでも有名です。
「シボレー・コルベット」1953年アメリカ 3851cc 直6 OHV 150hp/4200rpm。イギリスやドイツ、イタリアからの輸入スポーツカーに対抗して、GMが発売したアメリカ初の量産スポーツカー。アメリカン・マッスルカーの原型。
「フォード・サンダーバード」1955年アメリカ 4785cc V8 OHV 198hp/4200rpm。コルベット対抗のフォード産スポーツカー。V8エンジンでGMと差別化。
「フォード・マスタング」1964年アメリカ 4736cc V8 OHV 210hp/4800rpm。「サンダーバード」はラグジュアリー・セダンとして大型化。その後を担い、フォードとしては「T型フォード」以来の大ヒットとなった車。
「ジャガーEタイプ ロードスター」1965年イギリス 4295cc 直6 DOHC 265hp/5400rpm。14年に渡り生産された大ヒット作。有名なルマン優勝車「Dタイプ」の後継を意識したネーミングらしいです。
「フェラーリ512BB(ベーベー/ベルリネッタ・ボクサー)」1979年イタリア 4942cc V12 DOHC 360PS/6800rpm。当時のスーパーカーブームで「ランボルギーニ・カウンタック」と並ぶ最大のスター。F1「312B/312T」シリーズをレプリカした水平対向エンジン。
戦後のエポックメイクな車
「スチュードベーカー・コマンダー」1949年 アメリカ 2456cc 直6 サイドバルブ 100hp/3400rpm。ビッグ3(フォード、GM、クライスラー)に先駆けたフラッシュサイドボディ(フェンダーがメインボディと一体化した現在の乗用車スタイル)。有名な工業デザイナー、レイモンドローウィのデザイン。
学生時代に読んだ「007 ダイアモンドは永遠に」の原作小説にはスチュードベーカーが登場しました。米英では最先端スタイルの車として認知されていたようです。
「キャデラック・エルドラド・ビアリッツ」1959年 アメリカ 6396cc V8 OHV 325hp/4800rpm。大量消費が美徳とされた当時のアメリカを代表する、大排気量V8エンジンの高級車。
「ボルボ・PV544」1959年 スウェーデン 1583cc 直4 OHV 60hp/4500rpm。「世界一安全な車」ボルボの3点式シートベルトを世界で初めて装備したモデル。ボルボ社は特許を無料で公開し、シートベルト普及に貢献したそうです。
「シトロエン・DS19」1958年 フランス 1911cc 直4 OHV 75ps/4500rpm。「ハイドロニューマチック」と称する油圧サスペンションで有名な車。
「フォルクスワーゲン・ゴルフ」1979年 ドイツ 1471cc 直4 OHC 70ps/5800rpm。「ビートル」後継のヒットモデル。日本でもよく見かけました。
「ルノー・5(サンク)」1979年 フランス 1289cc 直4 OHV 64ps/6000rpm。「ゴルフ」同様ヒット作となった車。この車から派生した「5ターボ」と言うミッドシップエンジンのラリー車両もあり、WRCで活躍しました。
「アウディ・クワトロ」1981年 ドイツ 2144cc 直5 OHCターボ 200ps/5500rpm。WRCでの活躍で四輪駆動の優位性を知らしめた車。女性ラリースト、ミシェル・ムートンさんが印象に残っています。
「メルセデスベンツ・560SEL」1990年 ドイツ 5546cc V6 OHC 285ps/5500rpm。バブル期によく見かけたSクラスの2代目モデル。昭和世代はベンツと聞くと、この車が思い浮かぶ人が多いと思います。
日本の自動車
小型車
「三菱・500」 1961年 594cc 空冷直2 OHV 25ps/4800rpm。旧海軍の戦艦「武蔵」や「零式艦上戦闘機」などを手掛けた三菱重工業が、戦後初めて独自に手掛けた乗用車。後のコルトやギャランの前身でしたが、販売は振るわなかったようです。
こちらは1970年に「三菱自動車」として重工から分離した後のモデルで、500の系譜にあたる6代目「ギャランVR-4」のラリー・WRC仕様。篠塚健次郎選手の1992年コートジボワール・ラリー優勝車のようです。2022ラリー・ジャパン会場の豊田スタジアムで撮影しました。
私も「ランサー・ターボ」などのかっこよさに憧れて三菱直営の販社で総務事務をやりましたが、いろいろとうまく行かず退社した経験があります。まあ、月とスッポンというやつですかね。
「トヨタ・パブリカ」1961年 694cc 空冷水平対向2 OHV 28ps/4300rpm
「トヨタ・カローラ」1966年 1077cc 直4 OHV 60ps/6000rpm
「ダットサン(日産)・サニー」1966年 988cc 直4 OHV 56ps/6000rpm
「マツダ・ファミリア」1966年 782cc 直4 OHV 42ps/6000rpm
「トヨペット(トヨタ)・コロナ」1964年 1490cc 直4 OHV 70ps/5000rpm
「日産・ブルーバード」1965年 1299cc 直4 OHV 62ps/5000rpm
「ホンダ・シビック CVCC」1975年 1238cc 直4 OHC 63ps/5500rpm
初期の高級車
初代「トヨペット・クラウン」1955年 1453 cc 直4 OHV 48ps/4000rpm 。うちの父親が事業で一発当てて乗り回していた通称「観音開きのクラウン」。物心付く前であまり記憶にありません。
「プリンス・グロリア・スーパー6」1964年 1,988cc 直6 OHC 105ps/5200rpm。後に日産と合併したプリンス自動車の車。うちの父親がクラウンの次に乗っていました。当時の自分は乗り物酔いがひどく、長距離ドライブの度に気分が悪くなっていたのを思い出します。
2019 Suzuka Sound of Engineで撮影した、「グロリア・スーパー6」のレース仕様。1964年 第二回日本グランプリの2000ccツーリングカークラスでワンツーフィニッシュ。
軽自動車
「スバル360」 1959年 356cc 空冷2サイクル直2 16hp/4500rpm。戦時中に陸軍戦闘機「隼」を生産した中島飛行機が、戦後、富士重工と改名し再起をかけて初めて手掛けた乗用車。10年に渡って軽自動車の売り上げトップを占めたそうです。
軽トラック「サンバー」の初期型も、この車のRRユニットや独立懸架サスを流用し、ヒットしました。うちの父親は初期型サンバーのおかげで食品卸で財をなしました。その後も親子2代に渡って、6~7台は購入し、稼がせてもらった我が家にとっては恩人のような車です。
「スズキ・フロンテ 360」 1967年 356cc 2ストローク直3 25ps/5000rpm。まだ自在接手の信頼性が低かったFFからRRに変更した2代目フロンテ。
「マツダ・キャロル」 1969年 356cc 直4 OHV 20ps/7000rpm。世界最小の水冷4気筒エンジン車だったそうです。
「ホンダN360」 1969年 354cc 直2 OHC 31ps/8500rpm。ホンダの4輪としては最初の量産車にして、最初のヒット作。
スポーツ車
「ダットサン(日産)・フェアレディ」 1963年 1488cc 直4 OHV 80ps/5600rpm。国産初の量産スポーツカー。シャーシはブルーバード。エンジンはセドリックから流用されたものだそうです。SUキャブなどで特別にチューンされた車両が1963 第一回日本グランプリの2500cc以下のスポーツカー・クラスで優勝しました。
こちらは日本グランプリ優勝車とは別の車両ですが2019 Suzuka Souud of Engeneで撮影したフェアレディのレース仕様です。
「ホンダS500」 1964年 531cc 直4 DOHC 44ps/8000rpm。ホンダ最初の乗用車は実用車ではなくスポーツカーだったのが本田宗一郎さんらしい所。FRのパワートレインが一般的なプロペラシャフトではなくチェーン駆動なのもオートバイ屋らしい珍しい所です。
「トヨタ・S(スポーツ)800」 1965年 790cc 空冷水平対向2 OHV 45ps/5400rpm。航空エンジニアがデザインした車重580kgに収まる超軽量で空力デザインのモノコックが特徴のスポーツカー。エンジン屋のホンダとの対比が面白いです。
「トヨタ2000GT」 1967年 1988cc 直6 DOHC 150ps/6600rpm。石油ショック前の日本では唯一とも言える国産スーパーカー。オープンカーに改造された車両が「007は二度死ぬ」のボンドカーとして登場しました。
3M型エンジンのDOHCヘッドや車体の組み立ては、提携先のヤマハで行われたそうです。21世紀の「レクサスLF-A」との縁を感じさせます。
また、当時の人気モデル「ツイッギー」さんに寄贈されたゴールドの車両が「ヤマハ・コミュニケーションプラザ」に展示されています。
「マツダ・コスモスポーツ」 1969年 491cc×2ローター 128ps/7000rpm。マツダ最初のロータリー・エンジン車。宇宙船を思わせる前衛的なスタイルも魅力的です。「帰ってきたウルトラマン」で「MATビハイクル」として、そのままのスタイルで採用されました。一方でリアサスがリーフ・リジッドだったり、トヨタ2000GTと比べるとコストダウンに苦心した様子もうかがえます。
「日産・フェアレディZ432」 1970年 1989cc 直6 DOHC 155ps/7000rpm。日産系の車体に、プリンスのプロトタイプ・スポーツカー「R380」系のS20エンジンを搭載したモデル。同系の「スカイラインGT-R」に比べると不人気で、76年当時の中古車センターに安値で並んでいたのを覚えています。
日産系のL型直6 SOHCエンジンを搭載した通常のフェアレディZは専門雑誌で「大きく、重く、眠たい」エンジン等と酷評されていましたが、結果的にそちらのほうが長く愛される結果になりました。
「いすゞ・ベレット1600GT」1966年 1579cc 直4 OHV 88ps/5400rpm
「日産・シルビア」1966年 1595cc 直4 OHV 90ps/6000rpm
「トヨタ・セリカ」1970年 1588cc 直4 DOHC 115ps/6400rpm
「三菱・コルトギャランGTO-MR」1971年 1597cc 直4 DOHC 125ps/6800rpm
「いすゞ117クーペ」1970年 1584cc 直4 DOHC 120ps/6400rpm
「トヨタ・カローラレビンAE86」1983年 1587cc 直4 DOHC 130ps/6600rpm
「ユーノス・ロードスター」1989年 1597cc 直4 DOHC 120ps/6500rpm
「日産・スカイラインGT-R」1989年 2568cc 直6 DOHC ターボ 280ps/6800rpm
「ホンダ・NSX」1991年 2977cc V6 DOHC 280ps/7300rpm
「レクサス・LF-A」2010年 4805cc 560ps/8700rpm
ミニバン
「トヨタ・エスティマ」1993年 2438cc 直4 DOHC 99ps/5000rpm
電気自動車・ハイブリッド・燃料電池車
「トヨタ・プリウス」1997年 1496cc 直4 DOHC+モーター 99ps/4000rpm
「ホンダ・インサイト」2004年995cc 直3 OHC+モーター 70ps/5700rpm
「テスラ・ロードスター スポーツ」2010年アメリカ 240V/53kWhリチウムイオンバッテリー 三相交流四極誘導電動機 292ps/4400rpm
「三菱・i-MiEV」2011年 電気モーター 64ps/–min
「トヨタ・MIRAI」2014年 水素燃料電池/交流同期電動機(永久磁石・同期型モーター) 155ps/–min
つづく
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