2022年10月29日 長久手市のトヨタ博物館

ツーリング

秋晴れの一日、愛知県刈谷市に行く機会がありましたので、帰りに長久手市の「トヨタ博物館」に行ってきました。レーシングカーはいろいろ見た自分ですが、市販車のクラシックカーの実物も見たいと思い伺いました。


場外でお出迎えしてくれるのは、今のようなキャブオーバーが普及する前、走っていたボンネットバスの「トヨタ・FB80型」1963年



エントランスに展示されていたのは「フェラーリ・ディノ246GTS] 1973年イタリア 2418cc V6 DOHC 195ps/7600rpm 。当時のフェラーリはV12エンジンがアイデンティティ。この車両を発売するにあたってエンツォ・フェラーリさんは、早逝された息子さんの愛称「ディノ」と名付けて他のフェラーリ市販車と区別されたそうです。エンジンは、同じフィアットグループから発売されたランチア・ストラトスに搭載されてWRCで活躍しました。

入場は有料ですが、トヨタ博物館メンバーズクラブや、団体、JAF会員などの各種割引があるようです。私はJAF割引で通常1200円のところ、1000円で入場しました。発券、もぎりのお姉さんはキャビンアテンダント並みの美女ぞろいで、モデル立ちで出迎えてくれます。



一階踊り場に「トヨダAA型」1936年製 3389cc 直6 OHV 65ps/3000rpm。トヨタ初の量産市販車。ピカピカに磨き上げられていて、トヨタのアイデンティティであるのがうかがえました。

二階からは、自動車の歴史を時系列順に現車で紹介する展示になっていました。基本的にはその並び順に沿って、自分の印象に残った車両の写真をアルバムしてみました。

黎明期/普及期の自動車


世界初の内燃機関で動く自動車「ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン」1886年ドイツ(レプリカ) 954cc 4ストローク単気筒 0.75ps/400rpm。発明者カール・ベンツさんの妻ベルタさんが、実用性をデモンストレーションするために194キロメートルのロングツーリングを敢行されたそうです。

まだキャブレターが発明されていなかったので、毛細管現象で燃料の気化を行ったらしいです。巨大なフライホイールで回転を安定させています。


「ベンツ・ヴェロ」1894年ドイツ 1045cc単気筒 1.5hp/450rpm。ベンツ初の生産車だそうです。


19世紀当時、主流だった蒸気機関で動く自動車「スタンレー・スチーマー・モデルE2」1909年アメリカ 10hp/2.6Mpa。ご存じのように、ガソリン自動車に駆逐されて衰退しました。


「ロールスロイス 40/50HP シルバーゴースト」1910年イギリス 7428cc 直6 L頭 推定出力48hp。幽霊のように音もなく走るという静粛性から名づけられたらしいです。ロールスの最高出力は21世紀になるまで長らく非公表でしたが、必要十分な出力はあるという自信の表れだったそうです。


世界初の量産市販車「フォード・モデルT」1909年アメリカ 2896cc 直4 L頭 20hp/1600rpm。ベルトコンベア大量生産によるコストダウンのメリットについて語られるとき、かならず取り上げられる車です。


セルモーターが付いた最初の自動車「キャデラック・モデル30」1912年アメリカ 4692cc 直4 L頭。これ以前は手回しクランクでエンジンを始動していたそうです。


T型フォードに対抗して、現在のGMの母体、シボレー社が発売した量産車「シボレー・シリーズ490」1918年アメリカ 2802cc 直4 OHV 26hp/1800rpm。


T型フォードの後継車「フォード・モデルA」1928年アメリカ 3286cc 直4 L頭 40hp/2200rpm。日本でも現地生産され、円タク(一円均一料金のタクシー)として利用されたそうです。


英国初の量産市販車として有名な「オースチン・セブン」1924年イギリス 747.5cc 直4 L頭 10.4hp/2400rpm。


フランス発の本格的生産車「シトロエン5CVタイプC3」1925年フランス 856cc 直4 L頭 11hp/2000rpm。日本にも相当数が輸入され、そのスタイルから「セミ」という愛称で親しまれたそうです。

王侯貴族がショーファードリブン(お抱え運転手付き)で乗る豪華車「リムジン」


「デイムラー・タイプ45」1920年イギリス 7413cc 直6 スリーブバルブ 65hp/1400rpm


「ピアスアロー・シリーズ36」 1927年アメリカ 6796cc 直6 T頭 100hp/3000rpm


「ミネルバ30CV タイプAC」1925年ベルギー 5340cc 直6 スリーブバルブ 最高出力不明


「イスパノ・スイザ32CV H6b」1928年フランス 6597cc 直6 OHC 135hp/3000rpm。本社はスペイン。サーボアシストブレーキを世界で初めて採用した車で、航空機の技術を生かしたアルミシリンダーOHCエンジンだそうです。


「イスパノ・スイザK6」1935年フランス 5184cc 直6 OHV 125hp/3500rpm。佐賀の鍋島家の方が日本の職人に架装させた珍しい車両だそうです。


「ロールスロイス40/50HPファンタムⅢ」1937年イギリス 7338cc V12 OHV 最高出力未公表。


文化館に展示されていた、ロールスロイスのラジエーターグリル。熟練の職人が手作業で板金、ロウ付けをする、とんでもなくコストの掛かった品だと昔の雑誌にありました。グリル上には、世界一有名なマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」が輝いています。


「キャデラック・シリーズ452A」1931年アメリカ 7407cc V16 OHV 165hp/3400rpm。


「パッカード・トゥエルブ・ルーズベルト大統領専用車」1939年アメリカ 7756cc V12 L頭 175hp/3200rpm。装甲車並みのボディと防弾ガラスを使用しているそうです。

戦前のグランプリレースやインディ500、ルマン24時間で活躍したメーカーの高性能車


「デューセンバーグ・モデルJ」1929年アメリカ 6882cc 直8 DOHC 265hp/4200rpm。インディ500の技術を生かした高性能車で、当時のハリウッドセレブの御用達だったそうです。アメリカ史で言う「狂乱の20年代」を代表する車。


「メルセデスベンツ500K」1935年ドイツ 5018cc 直8 OHVスーパーチャージャー 160hp/3400rpm。レーシングカーの技術を生かした過給機エンジン。この後、ベンツはヒトラーの肝いりで「アウトウニオン(アウディの前身)」と共に戦前のグランプリレース(F1の前身)を席巻することになります。


こちらは文化館にあった、高級ミニカーですがフェルディナント・ポルシェ博士デザインのミッドシップのグランプリカー「アウトウニオンPヴァーゲン・タイプC」ドイツ(写真左)。正直こういったレーシングカーを期待していたのですが、真面目な博物館らしく派手な展示はありませんでした。

写真右は「ランチア・フェラーリD50」イタリア。ランチア製ですが、モンツァのアスカリ・シケインに名を遺すアルベルト・アスカリが事故死したのち、フェラーリに譲渡され、ファン・マヌエル・ファンジオがチャンピオンを獲得した1956年のF1カー。

戦前のイタリアのグランプリカーというと、若きエンツォ・フェラーリがドライバー、チームマネージャーとして活躍したアルファロメオもありますが、こちらの展示は見当たりませんでした。


フランスのグランプリカー「ブガッティT35」の写真がサイトにありましたが、こちらも展示されていませんでした。


「ブガッティT57C」1938年フランス 3257cc 直8 DOHCスーパーチャージャー 160hp/5500rpm。ナチスドイツに席巻される前に、イギリスのベントレーとルマン24時間で覇を競った逸話で有名なブガッティ。学生の頃に最高級車「T41 ロワイヤル」のプラモデルを丁寧に組み上げた記憶があります。


「ドラージュ・タイプD8-120」1939年フランス 4750cc 直8 OHV 115hp/3800rpm。超一流のコーチビルダー「フィゴーニ&ファラッシ」の架装による、レトロフューチャーな流線形。

戦前のヨーロッパの中産階級向け乗用車


「フィアット500トッポリーノ」1936年イタリア 569cc 直4 L頭 13hp/4000rpm。今に伝わるフィアット・チンクエチェントの原型のようです。


「シトロエン11B」1937年フランス 1911cc 直4 OHV 46hp/3800rpm。世界初の前輪駆動車。


「KdFワーゲン」1942年ドイツ 985cc 空冷水平対向4 OHV 25ps/3000rpm。ヒトラーの肝いりでポルシェ博士が設計した車。国民車として意図されましたが量産に至らず第二次世界大戦となりました。フォルクスワーゲン・ビートルの原型。

日本の戦前の車


「トヨダAA型」(レプリカ) 1936年 3389cc 直6 OHV 65ps/3000rpm


「ダットサン11型フェートン」1932年 722cc 直4サイドバルブ 12hp/3000rpm。ニッサンの前身「ダット自動車」で製造された、現存する最古の1台だということです。



「ダイハツ・オート三輪SA-6型」1937年 667cc 空冷単気筒サイドバルブ 6.7hp。私の幼少期までは「ダイハツ・ミゼット」などのオート三輪は普通に見かけました。これは戦前のヒット商品だということです。

第二次世界大戦で活躍したジープ


「フォード・モデルGPW」1943ccアメリカ 直4 L頭 54hp/4000rpm。現在のクロカン4WDの原型ですね。当時、既にOHVバルブは普及し始めていましたが、戦地の粗悪なガソリンでも走るよう、L頭式サイドバルブを採用したらしいです。

戦後の復興期のヨーロッパの国民車


「フォルクスワーゲン タイプ1」1951年ドイツ 1131cc 空冷水平対向4 OHV 25hp/3300rpm。ポルシェ博士のKdFワーゲンが戦後復活。「ビートル」の愛称で、2003年まで量産されました。


「メッサーシュミットKR200」1955年ドイツ 191cc 空冷単気筒2サイクル 10ps/5250rpm。前後二人掛けのマイクロカー。


「BMW イセッタ」1959年ドイツ 297cc 空冷単気筒 OHV 13ps/5200rpm。イタリアのイソ社からライセンスを取得して生産されたマイクロカー。テレビやネットで、前にドアがある珍車として扱われる事の多いクルマです。


「フィアット・ヌォーバ500L」1972年イタリア 499cc 空冷直2 OHV 18ps/4600rpm。イタリア語で”500″を意味する「チンクエチェント」という車名で知られ、1957年に発売、1977年まで生産された二代目500。映画「グランブルー」でジャン・レノが乗っていたのが強く印象に残っています。アニメ「ルパン三世」の愛車でもありますね。


「シトロエン2CV タイプA」1953年フランス 375cc 空冷水平対向2 OHV 9hp/3500rpm。1990年まで生産された国民車。バブル期にはおしゃれ感覚で乗る人もいて、街中でたまに見かけました。フカフカのサスで、カーブで派手にロールするので、映画のカーアクションに使われることがあります。


「モーリス・ミニ・マイナー」1959年イギリス 848cc 直4 OHV 34hp/5500rpm。2ボックス・ボディに横置きエンジンのFFという、現在の小型車の基本構造の始まりの車。2000年まで生産されたのち現在の「BMWミニ」にバトンタッチ。F1コンストラクターのジョン・クーパーがチューンした「ミニ・クーパー」がモンテカルロ・ラリーなどで活躍したことでも有名です。

主にアメリカで消費された戦後のスポーツカー


「MGミジェット タイプTC」1947年 1250cc 直4 OHV 54.5hp。モーリスのエンジンを搭載したライトウエイトスポーツカー。この後ヨーロッパ産のスポーツカーが、戦後の好景気に沸くアメリカに輸出されるようになりました。


「ロータス・エリート」1961年イギリス 1216cc 直4 OHC 76hp/6100rpm。F1コンストラクター「ロータス」の現在でもレプリカが人気の「7(セブン)」と並ぶ初期モデル。FRPモノコック・ボディやコーリン・チャップマン考案の「チャップマン・ストラット」サスペンションが特徴。



「ポルシェ356 1100」1950年ドイツ 1086cc 空冷水平対向4 OHV 40ps/4200cc。「フォルクスワーゲン・ビートル」のエンジン、サスペンションなどを流用して、ポルシェ博士の息子フェリー・ポルシェ氏が開発したスポーツカー。現在の「ポルシェ911」の原型。



「メルセデスベンツ300SL」1955年ドイツ 2996cc 直6 OHC 215ps/5800rpm。ルマン24時間等の為に開発されたプロトタイプスポーツカーを市販化したもの。私は勝手に「キング・オブ・スポーツカー」と呼んでいます。

設計者のルドルフ・ウーレンハウト氏は戦争前夜のグランプリカーや戦後のF1「W196」等の連戦連勝マシンの設計者として有名な人。

このマシンも、チューブラー・スペースフレームや直噴エンジン等の先進メカの固まりで、市販車として初めて時速150マイルを超えた俊足ぶりや、ガルウイングドアなどでも有名です。


「シボレー・コルベット」1953年アメリカ 3851cc 直6 OHV 150hp/4200rpm。イギリスやドイツ、イタリアからの輸入スポーツカーに対抗して、GMが発売したアメリカ初の量産スポーツカー。アメリカン・マッスルカーの原型。


「フォード・サンダーバード」1955年アメリカ 4785cc V8 OHV 198hp/4200rpm。コルベット対抗のフォード産スポーツカー。V8エンジンでGMと差別化。


「フォード・マスタング」1964年アメリカ 4736cc V8 OHV 210hp/4800rpm。「サンダーバード」はラグジュアリー・セダンとして大型化。その後を担い、フォードとしては「T型フォード」以来の大ヒットとなった車。


「ジャガーEタイプ ロードスター」1965年イギリス 4295cc 直6 DOHC 265hp/5400rpm。14年に渡り生産された大ヒット作。有名なルマン優勝車「Dタイプ」の後継を意識したネーミングらしいです。


「フェラーリ512BB(ベーベー/ベルリネッタ・ボクサー)」1979年イタリア 4942cc V12 DOHC 360PS/6800rpm。当時のスーパーカーブームで「ランボルギーニ・カウンタック」と並ぶ最大のスター。F1「312B/312T」シリーズをレプリカした水平対向エンジン。

戦後のエポックメイクな車


「スチュードベーカー・コマンダー」1949年 アメリカ 2456cc 直6 サイドバルブ 100hp/3400rpm。ビッグ3(フォード、GM、クライスラー)に先駆けたフラッシュサイドボディ(フェンダーがメインボディと一体化した現在の乗用車スタイル)。有名な工業デザイナー、レイモンドローウィのデザイン。

学生時代に読んだ「007 ダイアモンドは永遠に」の原作小説にはスチュードベーカーが登場しました。米英では最先端スタイルの車として認知されていたようです。


「ボルボ・PV544」1959年 スウェーデン 1583cc 直4 OHV 60hp/4500rpm。「世界一安全な車」ボルボの3点式シートベルトを世界で初めて装備したモデル。


「シトロエン・DS19」1958年 フランス 1911cc 直4 OHV 75ps/4500rpm。「ハイドロニューマチック」と称する油圧サスペンションで有名な車。


「フォルクスワーゲン・ゴルフ」1979年 ドイツ 1471cc 直4 OHC 70ps/5800rpm。「ビートル」後継のヒットモデル。日本でもよく見かけました。


「ルノー・5(サンク)」1979年 フランス 1289cc 直4 OHV 64ps/6000rpm。「ゴルフ」同様ヒット作となった車。この車から派生した「5ターボ」と言うミッドシップエンジンのラリー車両もあり、WRCで活躍しました。


「アウディ・クワトロ」1981年 ドイツ 2144cc 直5 OHCターボ 200ps/5500rpm。WRCでの活躍で四輪駆動の優位性を知らしめた車。女性ラリースト、ミシェル・ムートンさんが印象に残っています。


「メルセデスベンツ・560SEL」1990年 ドイツ 5546cc V6 OHC 285ps/5500rpm。バブル期によく見かけたSクラスの2代目モデル。昭和世代はベンツと聞くと、この車が思い浮かぶ人が多いと思います。

つづく

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